白番のオープニングについて
1.e4 から始まる応手と私のレパートリーの変遷、そして現在のレパートリーについての紹介です。みなさん、こんにちは。やきいもです。ブログの2本目は定跡について語ろうかと思います。定跡と言っても今回は一つについて詳しくというよりは、いくつかの定跡の紹介と私の定跡選択の変遷、そして現在使っているものについて軽く話すという予定です。ゆるゆるとお付き合いいただければ幸いです。
それではよろしくお願いします。
白番のオープニング
今回のテーマはタイトル通り白番のオープニングについてです。その中でも主に1.e4 e5から始まる、所謂オープン・ゲームと呼ばれる大きな変化についてお話ししようと思います。そしてオープン・ゲームにおける私の定跡選択とその理由についてもお話しする予定です。
オープン・ゲームについて話す前に白番で選択できる初手とそこから開始されるオープニングについて触れてみましょうか。
白番を持ったプレイヤーが選ぶ初手をlichessのデータベースで見てみますと、Blitz R2000以下では以下のような分布になります。
- 1.e4 約1億局
- 1.d4 約5300万局
- 1.c4 約880万局
- 1.Nf3 約830万局
- 1.f4 約230万局
上位5つを挙げてみました。この中でも1.e4は2番目の1.d4と比べて約2倍近く多いようです。そして1.d4よりも大きく減って1.c4と1.Nf3がほぼ同じくらい。さらに減って1.f4という具合です。
さて、最もよく指されている1.e4ですが、この手に対する黒の応手は幅広く、なかなか簡単に全ての対策を用意することは困難です。先ほどと同じ範囲でlichessのデータベースを見てみると以下のような具合です。
- 1...c5 約3000万局
- 1...e5 約2700万局
- 1...e6 約1300万局
- 1...c6 約900万局
- 1...d5 約870万局
- 1...d6 約480万局
- 1...g6 約330万局
- 1...Nf6 約280万局
- 1...Nc6 約160万局
- 1...b6 約150万局
100万局を上回る応手を全て挙げてみましたが実に10通りも存在します。1.e4を指すプレイヤーはこれらへの対策を考えておく必要があるということになります。
でもご安心を。流石に10変化全てに完全な対策は要りません。もちろんマスター(CM,FM,IM,GM)を目指したいというのであれば話は変わってくるかもしれませんが...。
私の印象では上から4つめの1...c6(Caro-Kann Defence)までの対策を考えていれば十分です。上から6つめの1...d6(Pirc Defence)の対策まで考えてあるなら、ネットでBlitzを指す分においては、定跡の穴というのはないに等しいです。
ちなみに対策と言っても全ての変化に30手近い研究手を用意する必要はありませんよ。もしそこまでしていたのならば既に私よりもずっと強いはずです。その場合胸を張って定跡マンを名乗っていいでしょう。
基本的には初手から10手も決めていれば十分ですし、定跡が決定される5手くらいでも問題ない場合もあるかもしれません。
ただ自分の得意な定跡というのを持っておきたいなら、いくつかの定跡で終局まで研究した変化を持っておくと自信になるかもしれません。終局までではなくとも25手くらいまで研究していれば、例え実戦でその変化から外れたとしても、「自分はたくさん事前に準備しているから相手よりもこの定跡について詳しい」という自信が生まれ、その分気分的に指しやすいかもしれません。でもこれは好き好きです。
ちなみに私は今書いたような自信を持って対局に臨みたいタイプの人間なので、特定の変化に関しては偶に終局までやっていたりします。でも実戦でその変化になったことはほとんどないですね。完全な自己満足の部類です。
さてさて、だいぶ話が逸れてしまいましたが、本日の主題である1.e4 e5について話していきましょうか。先ほどの1.e4への黒の応手の最頻手が1...c5なのは目を瞑ってください。1...c5も有力な定跡なのですが、ちょっと変化が多くて書くのが難しいのです。私の気が向いたらもしかするといずれ書くかもしれません。その時は多分『ドラゴン』についてだと思います。
1.e4 e5(Open Game)
無事オープン・ゲームになったとすると、またここで白には変化の余地があります。いくつかまた例によってlichessのデータベースから紹介します。
- 2.Nf3
- 2.f4
- 2.Bc4
- 2.d4
- 2.Nc3
こうして見てみると結構ありますね。1.e4の良いところは変化がこれだけたくさんあるところかもしれません。
今回お話しする予定の私が選択している定跡は2.Nf3から始まるので、主にこれをメインに話していこうと思います。
1.e4 e5 2.Nf3
ここでもまた黒に変化する余地があるのですが、ほとんどは2...Nc6だと思うので今回他は省きます。
またもや3手目にして白から定跡選択の余地があります。
- 3.Bb5 (Ruy Lopez)
- 3.Bc4 (Italian Game)
- 3.d4 (Scotch Game)
- 3.Nc3 (Three Knights Opening)
ここまで来るとどれもかなり有名な定跡になってきますね。さて、私のレパートリーの1つは4つ目に書かれた3.Nc3から開始されます。
ここでの黒の応手もいくつかあるのですが、今回のメインは3...Nf6とします。
ここで漸く私のメインウェポンの1つにたどり着きました。この定跡の名前は....!
『Four Knights Game』
....。
....。
....。
そのまんまやんけ!!!
はい。見たままの名前です(笑)
前回取り上げた『ドラゴン』と比べると名前の印象は薄いかもしれませんね。しかしそうは言ってもこれが私のメインウェポン。名前が格好良くないからといって投げ出したりしません。なんだかんだ言って1年以上この定跡を指していますしね。
それでは次からフォーナイツ・ゲームについてお話ししていきたいと思います。
フォーナイツ・ゲームを指すまでの変遷
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Nc3 Nf6 から始まるこの定跡。lichessのデータベースを見てみても3.Nc3の時点で既に少し有名所から外れています。
上位に出ないと言うことは有力ではない・・・?
そう思われるかもしれません。まぁあながち間違ってはいないです。ですが、だからと言ってまずい定跡かと言われると別にそう言うことはないです。
ではなぜ上位に来ないのか?
その答えは簡単で、白から勝ちに行く定跡ではないからです。
この定跡はどちらかと言うと白は手堅く指して負けなければ良い、という感覚で指されている印象があります。ドローで満足するという感じですね。
ではなぜ私がこの定跡を選択したのか、私の定跡選択の変遷も含めてその理由をお話ししましょう。
私は5年弱くらい前に、チェス入門βというサイトの対局場という場所でチェスを指していました。その頃は定跡などほとんど知らず、ある種我流で指していたわけですが、このサイトは初心者向けのサイトだったので周りも結構初心者ばかりでした。そんなわけで私は適当に指していても勝ったり負けたりしてそれなりに楽しく指せていたのです。
ですがそんなある日、とある部屋に一人のプレイヤーがいました。当時私の知り合いが挑んで負かされたというので、なぜか腕に自信のあった私はその人に挑んでみました。
するとどうでしょうか。なんと私は負かされたのです。結構自信はありました。負けたとしてもそこそこ指せるだろう、と。ですがその対局ではいとも簡単に私は負かされてしまったのです。
その人の名前を仮にT氏としましょうか。私はT氏打倒に燃えて何度も挑みました。そしてその度に私は返り討ちに遭ったのです。
ところでこの頃の私は定跡を知らないまでも、1.e4 e5 2.Nf3 Nc6くらいまでは指せました。そんな私の応手に対してT氏は3.Bc4と指してきました。この定跡はイタリアン・ゲームです。
しばらくの間私はT氏のこのイタリアン・ゲームを相手に戦っていました。もちろんまともに定跡なんて知りませんから3手目からは自力思考で戦っていました。
T氏のイタリアン・ゲームは攻撃的で、攻めが鋭く、私はよく負けました。
そんな風に対局を重ねるうちに、私はこのT氏と仲良くなっていったのですが、彼は私に自分が白番で指しているイタリアン・ゲームをお勧めしてくれました。
これが私の最初のオープン・ゲームで選んだ定跡となります。
この頃から私は前回のブログで紹介したWikipediaを見漁って定跡を色々調べるようになります。
T氏との対局で私はこのWikipediaの知識を用いて戦っていくわけですが、やはりなかなか勝てません。私が白番だったとしてもイタリアン・ゲーム使い相手に私が使って勝てるわけもなく戦績はズタボロでした...。
その後、対局場の別の知り合いであるR氏がキングズ・ギャンビットという定跡を指しているのを知ります。
1.e4 e5 2.f4
しかし棋風の問題からなかなか指しこなすことができず断念。その後もたまには指していたもののやはり難しく私のレパートリーに加えることはできませんでした。
こんな感じでいろいろ指していた頃、今度はK氏という別の人と対局してある定跡を採用することになります。
1.e4 e5 2.d4 exd4 3.c3
この定跡はダニッシュ・ギャンビットです。
キングズ・ギャンビットに引き続き何故かギャンビットに影響されていることが多い気もしますが、まぁ気のせいでしょう。
K氏のダニッシュ・ギャンビットをまともに相手にして勝つことは当時の私には叶いませんでした。そこで私はコテンパンにやられたこの定跡を白番で自分が使ってみることにしました。
相変わらず棋風にマッチしている感はあまりなかったものの、なんだかんだそれなりに勝てたので私は長い間この定跡を使っていくことになります。
実は、対局場は閉鎖されたりなどいろいろありまして、途中私はダニッシュ・ギャンビットを採用したころからlichessを始めています。プロフィールを見たらすぐに分かりますが2018年の2月なので、約3年半前のお話しになります。
lichessでもダニッシュ・ギャンビットはそれなりに勝てたので私はしばらく採用していました。
ところで今までの話の中ではオープン・ゲーム以外の定跡の話題に触れていませんでしたが、私はオープン・ゲームの模索もしながら、他にクイーンズ・ギャンビット、イングリッシュ・オープニング、ポーリッシュ・オープニングなども指していました。
何なら当時の私はイングリッシュが一番好きだった時すらありました。
そんな感じで私はオープン・ゲームで自分にしっくりくる定跡がなかなか見つからず、いろいろなものに手を付けていました。
ここまで長い間私の過去の話ばかりをしてきましたが、そろそろ今のレパートリーであるフォーナイツ・ゲームが出てきます。
フォーナイツ・ゲームを採用する切欠となったのは、2020年の8月頃です。
何故かと言うと、この頃の私はBlitzレートが1800台くらいで、自分の指す定跡についてとても悩んでいた頃だったからです。
黒番ではシシリアンディフェンス・ドラゴンバリエーションを採用しており、かなり気に入っていたのですが、白番で自分が得意だと言える定跡がありませんでした。
そもそもこの頃の私の白番の初手のメインは1.e4ではなかったのですが、2020年4月くらいに1.e4を指せるようになりたいと思い、指し始めました。
やはり最初はかつて指していたイタリアン・ゲームを主に採用していましたが、私の棋風には合わない気がして他の定跡を探すようになりました。
王道なのはルイ・ロペスですが、この定跡は単純に変化が多すぎてしんどいということで断念。スコッチ・ゲームは悪くないのですが、そもそも私は今までほとんど触れてこなかったので候補に挙がらず。最終的に出てきたのが3.Nc3でした。
この時点ではまだフォーナイツ・ゲームまで至っていませんが、対局場で指していた頃に、定跡が分からないなりにe4ポーンを支えようとNc3を指していることを思いだしました。
接点があって少しは感覚が分かっていたこともあり、私は3.Nc3を採用しました。しかし指していると黒の応手がほぼ3...Nf6で固定だったので、この時初めてフォーナイツ・ゲームを指すようになりました。
フォーナイツ・ゲームも白からいくつか変化があったのですが、4.d4はスコッチ・ゲームに類似し、基本的に棋風に合わないという感覚を持っていたため除外。次によく指していたイタリアン風の4.Bc4は、白にとってあまり面白くない変化があり、これも断念。最後に残った4.Bb5が採用されたという具合です。
さて、漸く私の今のレパートリーの原型であるフォーナイツ・ゲーム・スパニッシュバリエーションに到達しました。
いやぁ、長かったですね.....(苦笑)
基本的に筆の進むまま台本なしに適当に書き進めているのですが、自分語りモードになるとついつい本題とは別のことを長々と書いてしまいますね(苦笑)
ちなみに『フォーナイツ・ゲーム・スパニッシュバリエーション』は長いので、私はよく『4馬西』と略します。これからは所々でこう書いていくかもしれません。
一応解説のようなものですが、『4馬』は『フォーナイツ』で、『西』は『スパニッシュ』です。
???
『西』 = 『スパニッシュ』 ????
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。ちゃんと説明します。
『スパニッシュ』とは要するに『Spanish』 = 『スペインの』。
アメリカを米、イギリスを英と表すようにスペインを漢字一文字で表すと、スペイン = 西
つまり、『スパニッシュ』 = 『西』、となったわけです。
さて、次で『4馬西』を軽く紹介していきたいと思います。
フォーナイツ・ゲーム・スパニッシュバリエーション(Four Knights Game Spanish Variation)
この定跡の 開始はこのようになります。
さて、ここからの黒の応手はいくつかあります。
4...Bb4変化
この変化の雰囲気を軽く述べますと、基本的に4馬西の変化の中では手堅く、比較的穏やかな局面になりやすい傾向があります。私の中で大きな印象としては、白から無理に仕掛けることはなく、黒が一切ミスをしなければこちらからは特段仕掛けていかずドローでも満足する、というものです。
積極的な変化ではありませんが、白黒共にお互い良い陣形を目指し、仕掛けるとしても細かくポイントを重ねるように指すというあたりに難しさがあり、そこが楽しい点でもあると思っています。
4...Nd4変化
5手目は白からいくつか変化の可能性があります。雰囲気と共に軽くご紹介いたします。
5.Bc4
個人的に最も有力と考えている変化です。この変化には25手近くあるドローラインがあったり、それを白が嫌って別の変化にしたりと白に選択の余地があり最も指しやすいのではないかと思います。
5.Ba4
ビショップの当たりをこちらに逃げて受ける手も考えられます。5.Bc4に対してややこちらは受け身になりやすいため、個人的にはあまり好きになれない変化です。しかしだからと言って白が悪いわけではないため十分有力な変化だと考えられます。
5.Nxd4
この変化は最もドローになりやすい変化ですが、すぐにエンドゲームになるため、エンドゲームに自信があった上でドローでも良いという判断が必要になります。したがって、エンドゲームが苦手な場合にはあまりお勧めしません。
5.0-0
白が早々にダブルビショップを手放しますが、その分局面は安定します。しかしやはりダブルビショップを手放している分、やや白から争点づくりが難しい変化であると思えます。
4...Bd6変化
マスターの棋譜で稀に見かける変化ですが、黒の変な位置のビショップを咎めることは難しく、白も形を整えて待つと言った指し手になりやすい変化です。
変化の一例です。必ずしもこうなるわけではありませんが、参考程度にどうぞ。
棋譜中の白黒お互いの端ポーンプッシュにちゃんとした意味があるので、突くタイミングはよく考えましょう。悪くはなりませんが、このタイプの静かな定跡は細かい失点が後で響いてくることがあります。
4...a6変化
白がそれなりに良くなります。研究をそこそこしていないと難しいかもしれませんが。それでも悪くなることはないと思うので、黒がこう指してきたら気を楽にして指していいと思いますよ。
変化の一例です。e5ポーンを取って悪くないというだけで白にとって申し分ないです。
4...d6変化
とある知人はこの黒の手を『やる気がない』と評していましたが、実際に指されてみると案外難しいところがあります。
変化は一例ですが、黒の形は指し手の手順が違えばルイ・ロペスから派生する形であり、黒の形勢が悪いと言うことにはならなさそうです。白の指し方次第では勝ち切れるかもしれませんが、ドロー模様の変化にできることが第一目標のような気がします。というのも、案外白が下手をして負けることがあるからです。
とは言いつつ私はこの形の勝率が今年に入ってから7割5分らしいので、よく調べていれば勝てるのかもしれません。ただやはり初期の頃この形に遭遇した時は苦杯を舐めさせられた記憶があるので要注意だと思っています。
参考までに私が過去に指したこの変化の棋譜を貼っておきます。
棋譜自体は快勝譜です。
一応ポイントのようなものを話すとすると、この棋譜のように白はe4ポーンをうまく処理することができれば指しやすくなります。逆にこのポーンが負担となるような形になれば、黒から...Re8などで簡単に狙われてしまい、なおかつ白はそれを保持する形で守るのが難しいため白の指し方が難しくなります。
以上がおおよその変化とその対応です。
どうでしょう?戦略的にはあまり白から勝ちに行けない雰囲気がありますが、実際に指すと割と指せるので、案外面白い定跡なのではないでしょうか。
Double Spanishの変化ですとやや静かすぎるかもしれませんが、それ以外の変化であれば対称形ではないので、アマですと十分にお互い争点がある形だと私は評価します。
最後に
今回は1.e4周辺の黒の応手、私のレパートリーの変遷、そして4馬西についての紹介をしてみました。
...今更ですが、ブログを分けたほうがよかった気がしています(笑)
随分と内容のメインディッシュが多いので、3つくらいに分けたほうが読みやすかったかもしれませんね。気が向いたら編集して書き分けるかもしれませんが、今回はとりあえずこのまま投稿してみようかと思います。
最後まで読んでいただいた方、長らくお付き合いいただきありがとうございました。
それでは今回はこの辺りで。
ありがとうございました\~
written by やきいも